“誰が言うか”の力学を無視すると、組織はねじれる

同じ意見でも、“誰が言うか”で変わる現実
「全く同じことを言っているのに、Aさんが言えば通る。Bさんが言うとスルーされる」。


こうした現象は、どの組織にもある。理屈で考えれば不条理だが、現実の組織は“内容の正しさ”だけでは動かない。“誰が言うか”によって、提案の重みや通り方が大きく変わる。

この「発言の重力差」に気づかず、放置してしまうと、組織はじわじわと歪んでいく。


正論が通らない組織に、人は疲れていく


一部の発言者だけが影響力を持ち、他のメンバーの声が軽視されるようになると、組織には不公平感が漂い始める。
「誰が言うかで扱いが違う」という構造は、周囲に“理不尽な空気”を生み、真面目なメンバーほど疲弊していく。次第に「どうせ言っても無駄だ」と感じ、発言を控えるようになり、組織の対話は停滞する。

発言者の“属性”に無意識に引っ張られていないか
その提案は「新人だからスルーした」のか?「声が小さいから気づかなかった」のか?「いつも否定ばかりする人だから軽く扱った」のか?

発言の中身ではなく、発言者の属性に無意識に反応していないか──経営者やマネージャーは、常に自分に問いかける必要がある。
組織が成熟するとは、発言の“肩書フィルター”を薄めていくことでもある。


「発言の価値」は、内容ベースで評価する文化を


発言の正当性や論理性を、立場にかかわらず評価する──それができる組織は強い。
もちろん、役職や経験には意味があるが、それが発言の価値を決めてしまうようでは、若手も異分子も育たない。

経営者が率先して、「誰が言っても耳を傾ける」という姿勢を示すこと。それが、組織全体の対話の質を底上げする。

声を拾う力が、組織の伸び代を決める
言葉に重さを与えるのは役職ではなく、“耳を傾ける側の姿勢”だ。
どんな立場からの発言でも、そこに真理があるなら受け止める。その構えがあるからこそ、組織には新しい視点が流れ込んでくる。

「誰が言ったか」ではなく、「何を言っているか」を基準に評価する文化を築くこと。
それが、ねじれを正し、組織に本当の健全性をもたらす。

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